音楽監督 杵屋佐之忠
黒御簾音楽に六十有余年。中村翫右衛門、名女形の河原崎国太郎の舞台を務めてきた大師匠です。中村翫右衛門は、今、NHKの平清盛に出演している中村梅雀の祖父であり、中山貞夫監督の「人情紙風船」や「河内山宗俊」など一世を風靡した名優です。舞台、映画と人気を博しました。そうした中で親子三代、息子の中村梅之助や六代目國太郎の舞台も支えてきた大ベテランのお師匠さんです。そして、唄浄瑠璃狂言は師匠が作ったといっても過言ではありません。作者と佐之忠師匠との出会いがなければ誕生していませんでした。唄浄瑠璃の魅力に取り憑かれた作者は師匠のお力添えのもとに唄浄瑠璃狂言という音楽劇を創りました。師匠も、とんだ災難? いえいえ、楽しんでおられるように思えます…
美術 小田切ようこ
社)ITI国際演劇協会の理事として国際的にも活躍する舞台美術家の小田切さんのデザインをなにげなく目にした方は多いと思いますよ。東京地下鉄半蔵門線の大手町、神保町、九段下の駅ホーム壁面デザインなど公共空間のグラフィズムや企画展示の設計デザインなど幅広く活動されています。お若い頃は…いえ、今も十分お若いですよ…フランス国費で留学し、そのまま十年間も長期滞在していますから話題も豊富です。「綾描恋糸染」から参加して下さり、糸を使った簡素でモダンアートな空間をという演出要望に、流石ですね。「芝居の狙いを伝える美術は秀逸」「大きな糸車や糸束を使った美術は斬新」と評価されました。「藤戸」ではどんな舞台を見せてくださるでしょう。梅左事務所にとって大きな存在です。
作・演出 堀川登志子
(社)ITI国際演劇協会会員。国立劇場新作歌舞伎清栄会奨励賞、世田谷文学賞など受賞。六本木の脚本家養成教室水原明人ゼミの出身です。今年、50周年を迎えたこの教室は放送や映画のプロを数多く輩出していますが、彼女は変わり種のひとりですね。梅左のペンネームで芸能評論も手がけています。「古をたずねて、新しく書きかゆるがすなわち趣向の新しさといふもの」山東京伝の言葉を引用し戯曲骨子について述べられた郡司正勝先生に傾倒し、永井啓夫先生が創設された歌舞伎脚本の「作者部屋」の同人でもあります。佐之忠師匠との出会いから唄浄瑠璃狂言作家になり、伝統芸能は面白すぎると、ずぶずぶ深みに嵌っているようです…
制作協力 平樹典子
とってもお世話になっている平樹さんはオフィス樹の代表です。ご自身でも家族をテーマに舞台を作っています。所属する俳優、堀越富三郎さんの代表作「ハルピン帰りのヤスケ」は東京池袋演劇祭大賞を受賞しています。これは、平樹さんのお父様の実話がもとになっているそうです。とっても頼りになる大先輩ですが、私達は平樹さんを典子さんと愛称でお呼びしています。普段はとっても優しい姉御なんですよ。でも、仕事になると厳しいマネージャーです…。作者によりますと、札幌の高校演劇時代に、東京で活躍している女優が先輩にいると噂を聞いていたそうです。結婚を機に女優から身を引いて制作に転向したそうで、助っ人を探している時に紹介してくださる方があり、かの先輩だと分かりました。やはり、ご縁があったのですねぇ。出会えてよかった。よかった。